映像祭のために北海道の釧路に通う時期がありました。
かつて全盛期の釧路には、炭鉱があり、製紙工場が全稼働し、そして日本中から漁船団がここに滞在してはカムチャッカ半島沖で魚をとっていたらしいです。それが200海里の設定とともに、北の漁場に行けなくなって、釧路に立ち寄る漁船団が減ったそうです。その頃は、すごい魚が取れていたらしいです。量もそうですが、良い魚が取れていたのです。釧路の炉端焼きの大将が昔話として教えてくれました。
そのことは、大阪の北新地の寿司屋の大将もいいます。昔の魚はすごかった、と。つまり、時代が進んで、さまざまな技術が伸びていっているはずなのに、実は昔の方が美味しかった、ということはあるんです。
2026年度から、自分の生まれ故郷、京都市上京区、西陣の中でも「北野」と呼ばれる場所に毎週立ち寄るようになりました。そこで子供の頃によく食べていた豆腐屋に立ち寄り、それを食べました。驚くような美味しさ。本当に驚いたのです。スーパーで一般的に簡単に買える豆腐と全く違う。その豆腐屋は、私が子供の頃は、路地の奥にあり、小さな豆腐屋さんでした。それや、いまや京都を代表するような有名店になっています。
確かにおいしいことがあるんでしょう。しかし、それだけではないように思います。多くの豆腐屋が無くなっていったので、その一方で、地元の名店が、京都の名店へと位置付けがかわった。そういう面もあるのではないでしょうか?
このページでは、普通には食べれなくなった、おいしいもの。特にここでは醤油と豆腐を、全国で食べ歩きながら、私の視点で記述していきます。ここは日々更新していきますが、特別に記事にしたいものがあれば、別ページでも載せることもあろうかと思います。
のとや豆腐店
豆腐をいろいろと食べ出して、醤油とのバランスを取りながら食べていくと、いろいろな疑問が湧いてきています。それはおそらくは、私自身に一般常識が欠けていることが大きい。豆腐というのは、水につけて保存するのだ、と思っていたけれども、そうでもない。また、水抜きの作業が必要なこともある。
そう考えると、お店で買ったものをそのまま食べた方がいいのか、それとも水抜きをしてからの方がいいのか。悩む。実際、塩を少し入れて、軽く湯立てたあとに、ザルでしばらくおいた豆腐は美味しかった。これは店の味だけでもなく、食べ方も大切になってくるということ。
というわけで、近隣の豆腐を食べたいと思い、ネットで検索すると、阪南市の万代というショッピングモールの一階専門店に、ある「のとや豆腐店に行きました」

ただ、私が醤油と合わせて食べるメインの絹ごし豆腐は売り切れ。そのため、別の絹ごし豆腐(名前を忘れた)と「田舎木綿」を購入しました。こちらは、滋賀県産の「フクユタカ」を100%使用とのこと。

味は日常系の美味しい味です。大豆の味を全面に出す味ではなく、ほのかな大豆と共生するような味。木綿だからってのもあるのでしょうけど、表面近くの硬さと、中身の二重構造のような感じです。
わざわざ買いにいくだけの美味しい豆腐でした。
淡麗 ○●○○○ 濃厚
日常 ○●○○○ 芸術
先行 ○●○○○ 後味
なにわや豆腐店
滋賀県甲賀市にある、地域の人々に長く愛されている豆腐屋さんです。先代の大将が亡くなられてからは、毎週土曜日だけの営業となっていて、そのためか、土曜日になると地域の人々がひっきりなしに買いに訪れます。
以前にも取材をしました。その時は、油揚げについて伺って、その模様はYoutubeで公開しています。
もちろん、油揚げもおいしく、特に常連さんはこれを主に目当てに買いにきます。しかし、今回は豆腐に挑戦です。小サイズで175円。しかし、それでも十分に大きい。以下の写真は、小の豆腐を半分に切ったもの。

この豆腐は、他とは違う独特の味です。京都のとようけ屋の豆腐のような、初めにグッとくる大豆の濃厚な味はないのです。初めは無色透明な味のように感じます。ただ、凝縮したしっかりとした質感。そして不思議なことに、あとから風味が口の中に広がるのです。それゆえに、非常に品のいい味。店の方に聞くと「うちの豆腐は日常の味なので」と言う言葉も納得です。
ここから作る油揚げもそうなんでしょうけれども、さまざまな料理に合う豆腐じゃないでしょうか。和歌山の濃厚な醤油にも負けない芯のある風味があります。ただ、この豆腐は醤油に対抗するというより、むしろ受け止める豆腐なのだと思います。そのため、「濃紫」のような個性的な醤油と合わせると、口に入れた瞬間と後味で、違った風味が立ち上がってくる。そんな楽しみ方が似合う豆腐です。
淡麗 ○●○○○ 濃厚
日常 ●○○○○ 芸術
先行 ○○○●○ 後味
「にごり絹ごし豆腐」とようけ屋山本

京都市上京区七本松通にある老舗の豆腐屋さんです。ただ、私にとっては老舗の有名店というよりも、子供の頃に食べ慣れた味、のはず。ただ、その味はおぼえていないんですよね。豆腐とはあまりにも日常のもの。ただ、とようけ家のホームページでは、豆腐の味は少しずつ進化しているということで、工夫があってこの数十年の間に変わってきているのでしょう。
ただ、最近に食べたこの味は、こうやってホームページで豆腐を追っていこうと決めるにたるだけの驚くべき味。食べると濃厚な味がします。沖縄の豆腐ようとまでは言いませんが、しっかりとした味の主張があります。この味であれば、この豆腐でないと出ない日本料理はいっぱいあるのではないでしょうか?
今回はあまり、語りませんが、柚子味の豆腐や木綿と絹。さまざまなバリエーションがあるので、折に触れて語っていきたいです。私にとっては、豆腐の王様の味です。
淡麗 ○○○○● 濃厚
日常 ○○○○● 芸術
先行 ○●○○○ 後味
「濁り醤」角長

和歌山県湯浅町は、醤油発祥の地として日本遺産にも登録されている場所です。ただ、一方で和歌山県自体は今は醤油を大量に生産する県ではないのですが、千葉県にあるヤマサは元を正せば、和歌山県広川町ということもあり、さまざまなルーツがある場所です。
その中でも、この「濁り醤」は、湯浅の角長が昔の製法を再現してつくった、当初の味の醤油です。火入れも濾過もしていない、いわゆる「生醤油」。湯浅の町に行くと、この醤油のことも角長さんの博物館などで学べます。
おそらくですが、豆腐を食べる時に、この濁り醤を使う人は少数派かも知れません。というのは、やはり豆腐は繊細な味なので、醤油は主役にならないもの。でも、最近の豆腐はどうやら、主張するものが流行りのようなので、それに合わせて醤油もその強さに合わせたものであってもいいように思います。それには、私は濁り醤です。
味はもちろん濃厚。しょうゆ!という味の主張がめっちゃ届きます。ただ、特殊な製法ゆえに、保存には向いていないようできちんと冷蔵庫に保管することが求められますので、食卓の上に置きっぱなし、というわけにはいきません。
ある意味の「変態」な醤油です。だからこそ、醤油の可能性をひろげているように感じます。
淡麗 ○○○○● 濃厚
日常 ○○○○● 芸術
個性派 ○○○○● 伝統味
「国産大豆木綿」京都タンパク

この容器には書いてないですが「京禅庵」のブランドで販売されている京都タンパクの木綿豆腐。昭和41年に京都は伏見での創業された豆腐屋で、街の豆腐屋から拡大し、海外にまで展開してきた大手の豆腐なので、みんなどこかでみたことのある豆腐でしょう。
私もこれをあえてブランドまで調べて買ったというよりは、豆腐に飢えて岬町の食品店で購入。想像を超えておいしい。京とうふのスタンダードということを感じました。ただ、大豆のかおりが充満するというよりは、何に合わせてもいける豆腐。つまり、家庭の味の豆腐といえそうです。なにわや豆腐店のような個性と重厚さはないですが、これが今の食卓のスタンダードでしょう。
淡麗 ○●○○○ 濃厚
日常 ○●○○○ 芸術
先行 ○○●○○ 後味
「きぬこし」おとうふ工房大豆畑

かつらぎ西SAで購入した豆腐。製造者はサンクスラボとなっていますが、豆腐のお店としては「おとうふ工房大豆畑」というところのようです。遺伝子組み替えのない国産大豆を使用し、古くから伝わる方法で製作しているとのこと。創業は昭和55年からということです。
こちらのきぬこしの豆腐は、一口目から芳醇な大豆の味がします。その意味では、無骨なキチンとした味。そして、そのあと最後に独特の苦味が残る感じです。ただ、そこまでの強い主張のある味ではないので、濁り醤のような、醤油の強さがあるものとは少し合わないような気がします。

ホームページに、一般にスーパーで売ってる豆腐とは違う、と説明がありますが、それは納得の風味です。この最後の苦味も味わいのように感じました。おいしい豆腐です。
淡麗 ○●○○○ 濃厚
日常 ○●○○○ 芸術
先行 ○●○○○ 後味
「濃紫」末廣醤油

和歌山には中心街のフォルテワジマの一階に、高級スーパーといってよりフォルテ食品館があります。高級、という言葉はおそらく、そこにはさまざまな食材の選択肢が多いということがあります。たとえば、醤油だけでも多くの種類がおいてある、ということなのでしょう。フォルテ食品館の数多くの選択肢の中から、今回は、兵庫県たつの市の醤油「濃紫」を購入しました。
兵庫県は全国二位の醤油生産量の県。実は和歌山は醤油発祥の地かも知れないですが、生産量は今は関西では、少ない方。京都が一番少ないのですが、次に少ないのが和歌山県です。
さて、今回の「濃紫」。会社のリンクと、そこでの説明を下に引用します。
三段仕込甘露醤油。
国産の厳選された大豆、小麦、米麹を使用して造り上げた本格的しょうゆです。
三度にわたる仕込み熟成を繰り返し、豊潤でまろやかな味わいに仕上げました。お刺身やお寿司、焼肉やステーキなどにご使用ください。醤油の三大銘醸地の一つであり、
淡口醤油発祥の地である龍野で、
創業(明治12年)以来醤油をつくりつづけています。
この醤油はまずは瓶がかっこいい。こういうのも、醤油だけの味を楽しもうという時には大切な要素です。そして、豆腐と共に味わいましたが、とても個性的な醤油です。酸味が強く感じました、こういうのを芳醇な味、と表現するのでしょうか?実際、この醤油を使うと、醤油の料理というよりも、「濃紫」だからこそできる味、が生まれるのでしょう。なので、豆腐よりも、もう少し、素材の味が強いものに合うのではないでしょうか?もしくは、醤油を前に出すならば、静かな豆腐と合わせるのが良いと思います。
淡麗 ○○○●○ 濃厚
日常 ○○●○○ 芸術
個性派 ○●○○○ 伝統味
基本情報
醤油と豆腐を語るにあたって、基本情報となることを、ここにまとめていきます。まずは、大切なのは、日本の水はWHOの基準でいうとすべて軟水。しかし、そこにはバリエーションがあります。特に関東平野の水は、富士山のかつての噴火の影響でしょうか、ミネラル分が多く含まれているので、他の地域よりも硬水です。それゆえに、大阪と京都の軟水文化で培わせた昆布出汁文化は伝わらず、関東では昆布はもっぱら食べるもの。
実際、豆腐と醤油にどのような影響を与えているのかを知るのは今後の課題ですが、調べたことを以下に書いておきます。
軟水と硬水
よく言われることですが、日本のうどんの出汁は関ヶ原で東西に分かれる、という言葉。
全国水質マップ
水の硬度は、水1リットル当たりにマグネシウムとカルシウムが何mg含まれているかを示しています。WHO(世界保健機関)の基準では、硬度120mg/L以下が軟水、120mg/L以上が硬水とされています。日本の水道水は一般に軟水であると言われていますが、その硬度は地域によって異なります。またシリカは、二酸化ケイ素、もしくは二酸化ケイ素によって構成される物質の総称です。
このマグネシウムとカルシウム、シリカなどが沈殿、固体化したものがスケールと呼ばれ、付着したスケールは様々なトラブルの原因になります。

https://www.kuritac.co.jp/column/map.html
基本情報

https://www.nature.com/articles/s41598-021-92949-8

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