日本から世界へ。優れた日本の観光映像を世界に紹介する映像祭を成功させたい!

Yokosuka1953の書籍化が終わったばかりですが、日本国際観光映像祭の効果をより高めるために、こちらのクラウドファンディングも行います。それの内容を以下にも載せます。Motion Galleryの準備が出来次第、ここにもリンクを載せます。

ご挨拶

 みなさん、初めまして。日本国際観光映像祭(JWTFF)の総合ディレクターをつとめる木川剛志と申します。日本で唯一の国立大学観光学部である和歌山大学観光学部の教員をしています。
 2015年から観光学部に所属しているのですが、異動当初から「爆買い」や「インバウンド」が流行語となり、その後、どんどんと観光が各地で「主要な産業」となっていきました。しかし、当時はバズることを目的とした炎上すれすれの観光映像が全盛期の時代で、観光地の“より良き観光”のためになる観光映像は少なく、危機感を持っていました。そのため、2019年から、日本の観光映像のあり方を考える、日本国際観光映像祭を始めました。この映像祭で私は総合ディレクターをつとめています。コロナ禍を経て、再び観光の意味と意義が少しずつ変化していますが、その中で観光はどうあるべきか、を仲間たちと日々考えています。 


第6回日本国際観光映像祭の授賞式の写真(左端が木川剛志)(撮影は相原正明氏)

 今年も第7回を数える日本国際観光映像祭を3月17日から19日まで岡山県真庭市で開催いたします。今年は国際部門には1,132本、日本部門には138本の観光映像の応募がありました。この本数は世界レベルでも屈指の本数です。ようやくここまで映像祭は育ってきました。そして、私たちの映像祭は海外の優れた映像を日本に紹介すること、そして日本の優れた映像を海外に届けることを目的としています。この目的のために、みなさまのご支援をお願いしたいと思っています。どうぞ、よろしくお願いします。

日本国際観光映像祭:JWTFFの公式ホームページ

日本のこれからについて

 普段から大学生を教えていること、また自分自身の子供が11歳と8歳ということもあり、これからの私たちの社会がどのようになっていくかが、心配です。結局のところ、これまで以上の急激な人口減少、さらなる高齢化は避けることができない。この社会でどのように、私たちの学生や子供たちの安寧な生活を模索するのか。これは私たちに対する運命なようなものであり、避けることはできません。

 このような状況の解決のために、国は外国人訪日客の増加を中心とした観光政策を進めています。そしてコロナ禍を経て、再び、オーバーツーリズムが、特に東京や大阪、京都といった都市部で大きな問題となっています。そのため、このような政策のあり方も含めて、批判の声が大きいことも理解できます。しかし、それでも国力が低下するなか、観光は私たちの生きる糧となっていくことは間違いありません。今の観光の形が問題なのです。これからの私たちの生活を向上させながら、観光を促進すること。そのための鍵は観光映像にあると、私は信じています。

観光映像のあり方

 観光映像は、単に人を誘客するためのものではありません。観光地が求める観光客、観光地と観光客の幸せなマッチングのために観光地は理念の発信をすることができます。そしてその意義に共感した観光客が訪れる街になっていくこともできるのです。

 たとえば優れた観光プロモーションを行うことで、私自身もいつも勉強をされていただいているハワイの観光映像があります。少し古い映像ですが、以下の映像を見てください。

 この映像では「ハワイの自然はあなたを待っていません」という秀逸なキャッチコピーで、ハワイの自然を消費するのではなく、学びの場所として考える概念を観光客に与えています。人々は観光を求めています。言葉遊びになるかもしれないですが、もっというなら「旅」を求めています。

 日本各地で求められている観光は、確かに地域の活性化です。減っていく定住人口、そのために疲弊する地方を交流人口によって補おうということです。しかし、そのような浅はかな意図だけでは、優良な観光客を呼ぶことはできません。人は人生をかけて観光に行く理由を求めています。以下の図は、観光についてのレイヤーを示した図です。

 観光業として、観光もあります。それは主として地域振興です。観光は私たちを“自分たちの場所”から“他者の空間”へと誘います。知らなかった他者の世界観と触れ合うことになります。観光は異なる文化の相互理解につながります。そして、現在、世界では戦争が続いています。平和な世の中のために、観光が果たす役割は大きい。そんな相互理解のための観光もあります。そして、旅、生きる活力を求めて、素敵な人々との出会い、自然の美しさに心を奪われる、街の物語が私たちの見る世界を広げてくれる。これは生きるための世界を学ぶことです。そんな観光もあります。

 私たちはこのような視点で「観光」を捉えています。その上で観光映像のあり方を議論してきました。観光地の情報、魅力を伝えて誘客する映像、観光地をよりよく楽しむための紹介映像、旅そのものを楽しむVlogなど、これらをまとめて私たちは観光映像と呼んでいます。「業」としての観光映像ではDXの方向性、デジタルマーケティングのあり方を議論してきました。その一方で「平和」の観光映像として文化観光の位置付けもまた観光映像から読み解けることです。そして 映像の「人の感性に直接語りかける」という特性から「人生」を語る映像を多く発掘し、発信してきました。

 ここで私たちの映像祭が製作した鹿児島県与論町の観光映像「与論観光記」を紹介させてください。昨年の映像祭で開催したコンペティション:ART&FACTORY JAPAN(以降、ファクトリー)で映画監督、粂田剛さんが作った映像です。

 この映像は観光映像です。しかし、既存の枠組みの中の観光映像ではないかもしれません。しかし、この映像は、自分が慣れ親しんだ場所から他の地域に住み、その中から見えてくる「生き方」を示す映像です。そして、この映像はスペインを代表する観光映像祭、Terres Travel Festivalで受賞することとなりました。世界に認められた瞬間でした。

 私たちの映像祭は、大学教員が立ち上げた商業的には影響力をまだ持ち得ていない小さな映像祭です。しかし、すでに1989年から続き、UN Tourismが認定する世界最大の観光映像祭ネットワークCIFFTの一員となり、アジア唯一のCIFFT構成映像祭として、日本の映像を世界に届ける役割を担っています。

 今年の映像祭は、岡山県真庭市で開催します。テーマは「森と人々、美しき暮らしの継承へ」です。岡山県北部の森との暮らし、日本の原風景とも言える暮らしを世界に届けるために、真庭市でもファクトリー映像を制作します。それに加えて、和歌山県田辺市龍神村でも、そして鹿児島県与論島でも映像を制作し、世界に届けます。

観光映像のプロモーションの新しい形

 そして、このプロジェクトでは、日本の観光のために、もう一歩先を目指したいと思います。日本では毎年多くの観光映像が生まれています。映像は見られて初めて成立するものです。そのために、観光映像を多くの人に見てもらうために、Youtubeに掲載し、それだけでは不十分なので広告費を投入して、そのViewを伸ばしています。これは一般的なマーケティングです。しかし、海外の観光映像祭が行うやり方は少し違います。B to Bのマーケティングツールとして観光映像祭を活用します。私たちの映像祭のように、コンテストを開催し、そこで受賞する、それをニュースとしてメディアへと露出を目指す。そして、そのニュースを観光ジャーナリストに提供し、記事によって観光プロモーションを行なっていく。この形が、まだ日本では定着していないプロセスなのです。日本にはまだ、世界各国と比較すると「観光ジャーナリスト」の数は少ない。だからこそ、日本にはあるべき観光の姿が議論されることが少なく、その形が明確に私たちに示されていないのです。

 今年は、世界の観光映像祭にファクトリー映像だけでなく、日本の受賞作品の応募をもっと促したいと考えています。実はここに大きな問題があります。私たちの日本国際観光映像祭は審査料は無料です。他の国際観光映像祭は一万五千円から二万円程度の審査料を要求しています。しかし、日本の場合は、自治体が制作する映像の制作費が800万円だったとしても、たとえそれが1000円であっても、その応募費用が捻出できない、という問題があるのです。すぐには解決する問題ではありません。だからこそ、私たちは、この費用を肩代わりしても、日本の映像を世界に紹介し、その効果を理解してもらいたいと考えています。

 今回のクラウドファンディングでは、ファクトリーの運営費用と、この優れた日本の観光映像の応募費用の支援をお願いしたいと考えています。日本の観光のため、ご協力をお願いします。

第6回日本国際観光映像祭の授賞式。写真は相原正明氏。

ご支援いただきたいこと

 今年の映像祭の基本的な経費は和歌山大学の予算と与論町からの委託、企業からの協賛でおこなっています。少しずつ、計画的な運営ができつつありますが、まだまだ資金不足の問題はいつも伴っております。さらに、今年は応募作品を他の映像祭に費用を負担して代理で応募する事業をするので、この経費は現在のところ、確保しておりません。良い観光映像は、良い旅行者を呼び込むことにつながります。日本のこれからのため、あるべき観光のため、みなさまの支援をお願いします。

 今年のファクトリーは、鹿児島県与論町と和歌山県田辺市龍神村、岡山県真庭市で4人の映像作家のコンペティションとして開催します。これらの映像は、映像祭が信じるこれからの観光映像のあり方を示す映像となる予定です。まずはそれを海外観光映像祭に出展し、海外のメディアや観光ジャーナリストに届けたいと考えています。

 今年はさらに、日本の受賞作品の中から、世界各国の映像祭の傾向分析と合わせて、受賞の可能性が高いものを優先的に応募していきます。

 以上のために、みなさまからのご支援をたまわりたく、お願い申し上げます。目標金額は50万円です。

  • ファクトリーに関わる運営費(100,000円)
  • ファクトリー作品の海外映像祭応募費用(50,000円)
  • JWTFF受賞作品の海外映像祭応募費用(90,000円)
  • トロフィー費用の一部 (80,000円)
  • リターン費用(100,000円)
  • MotionGalleryの手数料、その他雑費(80,000円)

ご支援いただいた方への特典

 映像祭を通じて開催地のことを支援者の方々にも知ってもらいたい、その魅力を感じてほしい。そのために開催地の情報発信、観光誘客に貢献する特典を用意しました。リターンを通じて、みなさまに地域の魅力を届けます。
 ご支援いただいた方には、ファクトリーの審査員としてご参加していただきたいです。 ファクトリーの審査員としての投票権も特典として用意しました。またそれぞれの地域の応援プランや全力応援プランなどではファクトリー映像に協賛者としてお名前を掲載します。ファクトリーで制作された映像は3月17日にプレミア上映をします。その上映には間に合いませんが、その後仕上げる正式映像、海外の映像祭への応募の際には、協賛者の名前が入った映像を使用します。
 現在、トロフィーは、以前、滋賀県で開催した時に使用した扇子を準備しています。それに加えて、開催地である真庭市の木材を作った銘板も作成予定です。

真庭市の製材所。真庭は木材の生産地として知られます。

具体的に特典について以下に述べます。
・お礼メール(1通)
 ディレクターの木川から映像祭の成果の報告とお礼を映像祭終了後にメールで送ります。

・地域からの贈り物(1セット)
 私たちの映像祭には多くの自治体、観光協会から映像の応募があります。グランプリ映像に選ばれた地域から実行委員会が選定した土産物を贈ります(プランA)。グランプリ映像の地域からの送付が難しい場合は準グランプリ、または各部門の最優秀作品の中から選びます。また、開催地(プランB)、ファクトリー開催地(プランC)からのお土産物も選べます。

・ファクトリー投票権(3月16日受付締切)(1票)
 ファクトリー制作映像は3月18日の夕方から映像祭でプレミア上映をします。プレミア上映とは世界で初めてお披露目する瞬間です。今回こちらの特典が含まれる支援者の方には投票フォームをメールで送りますので、プレミア上映をぜひご覧になられて、5本のうちどれが一番よかったか、また感想をお届けください。この結果は最終審査の点数となり、また、観客賞の選定に用います。こちらは準備の都合上、3月16日までに受け付けることができたご支援者に対してのみの特典となります。

・ファクトリー映像のエンドロールにお名前記載(1名)
 プレミア上映後は、映像はそれぞれの地元に無償で提供し、地域のプロモーションにお使いいただきます。また、世界の観光映像祭にも応募していきます。プレミア上映の際は、まだエンドロールのない仮の状態での上映となりますが、地元への提供映像、海外への応募映像では、ご支援者の名前を載せたものを用います。世界へ一緒に旅立ちましょう。 

・専用タグ付き感謝トロフィー(1点)
 第7回映像祭に使用するトロフィーと同じものに、映像祭のロゴと指定された名前宛の銘板をつけて送ります。

想定されるリスクとチャレンジ

 3月の開催ということで、リスクは少ないとは思いますが、今回の開催地が岡山県北部なので、雪深い地域であります。そのため、大雪といった天候によっては会場に参加者が移動できなくなるなど、天変地異によるリスクはあるかもしれません。そのような場合でも、これまでに培ってきたオンライン開催の経験を利用して開催します。
 このプロジェクトはALL in 方式で行います。目標金額を達成できなかった場合でも、私、木川剛志の個人負担も含めて映像祭は開催します。リターンもお届けします。

最後に

 日本のこれからのためにより良い観光が必要です。それは決して大袈裟な表現ではなく、一つに地方の維持のためには観光が必要なること、そして観光が人間の感情面を考慮する経済活動であること、など、観光の特異性がこれからの日本に必要となることは間違いありません。しかし、その最適な形になるには、まだまだ努力をしなければならないところがあります。地方の魅力の発信、人間の生き方を考えること、社会的意義を追う経済活動を重視する視点を共有すすること。そのために、観光映像は重要なツールとなります。
 私たちの映像祭は、確かに小さい映像祭ですが、世界から1,132件、日本から138件の応募があるような映像祭になっています。そして国際観光映像祭としてもアジア唯一のものとなっています。この映像祭の影響力も活用しつつ、日本の優れた観光映像を世界の人々に届けていきたいと思います。
 映像祭の開催は、毎年、心身ともにすり減るものとなっています。しかし、受賞監督の喜びや、海外映像祭で日本の映像が高く評価された時など、そんなつらさを忘れるような素敵なこともいっぱい起こります。この映像祭をみなさんと一緒に行いたいと考えています。どうぞ、よろしくお願いします。

 日本国際観光映像祭を応援してください。最後までお読みいただきありがとうございました。

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